2019年06月18日

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 〈最新記事〉  信濃旅びとのうた10(若山牧水) 斎藤史のうた10

 〈既記事抜粋〉     

斎藤史のうた『秋天瑠璃』3より

 
霧隠れ・猿飛などいひし男棲み終焉(をはり)伝へず やまぐに此処は


口むずと閉ぢし春秋 文弱の徒よりも重し山の大樹は


花醍醐見ることもなく 雪醍醐称ふべくなく棲み果つるべし


おのれ孤りおのれの毒を食みて生き女いささか酔ふことありし


喬木に来る老い無慚 草なればこととても無したかが雑草(あらくさ)


金婚には出逢はず金塊も持たずこばん草などの種を蒔く


ねむる前に胃の腑におくる漢方薬口に苦ければ たぶん良薬


待つ人もあらねば この世自が老もつばらかに眺めつつまゐらう


婚姻色の魚らきほひてさかのぼる 物語のたのしきはそのあたりまで


〈七笑(ななわらひ)〉といふ酒を置きつくねんと女ひとり居て何わらふべき


鷺白く佇ちて真冬の千曲川一縷(いちる)の意志のあはれ細臑(ほそずね)


蜂の屍のかろく乾ける浄らにて落花のほども媚びることなし


総立ちの紅夏葵 何にしも思ひ燃やしてかく咲きのぼる


ひとつぶづつ小さき葡萄を口にはこぶ克明にしてさびしき夕


花なれば狂ひ咲くとも愛でられて卓に置かるる初秋の躑躅


生残りとなりて居りつつ死遅れとならざる境踏みわけらるるか

                 

        
 
      




(付) 長野県歌 信濃の国

1信濃の国は十州に境連ぬる国にして聳ゆる山は弥高く流るる川は弥遠し
松本伊那佐久善光寺四つの平は肥沃の地海こそ無けれ物多に万ず足らわぬ事ぞなき

2四方に聳ゆる山々は御嶽乗鞍駒ヶ岳浅間は殊に活火山何れも国の鎮めなり
流れ淀まずゆく水は北に犀川千曲川南に木曽川天竜川これまた国の固めなり

3木曽の谷には真木茂り諏訪の湖には魚多し民の稼も豊かにて五穀の実らぬ里やある
然のみならず桑採りて蚕飼の業の打開け細き緣も軽からぬ国の命を繋ぐなり

4尋ねまほしき園原や旅の宿りの寝覚の床木曽の棧掛けし世も心してゆけ久米路橋
来る人多き筑摩の湯月の名に立つ姨捨山著き名所と風雅士が詩歌に詠みてぞ伝えたる

5旭将軍義仲も仁科の五郎信盛も春台太宰先生も象山佐久間先生も
皆この国の人にして文武の誉類いなく山と聳えて世に仰ぎ川と流れて名は尽きず

6吾妻早とし日本武嘆き給いし碓氷山穿つ隧二十六夢にも越ゆる汽車の道
道一筋に学びなば昔の人にや劣るべき古来山河の秀でたる国は偉人のある習い


      
                                    

〈photo 歌のふるさと〉

〇新緑軽井沢(済).jpg
                             新緑 軽井沢
 
         

 
                        
                         〈連絡〉 shinanojinouta@yahoo.co.jp
posted by kazahanakakai at 23:41| Comment(0) | TOPページ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする